本作には美しい自然と手工業の伝統が息づく文化風土からインスパイアされた意匠が採用されている。

フクシマウォッチカンパニーは福島県の太平洋側に位置し、山と海に囲まれた自然豊かな南相馬市小高(おだか)区で2022年に誕生したばかりの新鋭時計メーカー。ここでクローズアップする“オダカ”は、同社のファーストコレクションである。

モデル名は、11年の東日本大震災による原発事故で帰宅困難区域となり、16年に避難解除された福島県南相馬市の小高区に由来する。小高区は小高城、村上城の二つの城を構えていたかつての城下町であり、本作には美しい自然と手工業の伝統が息づく文化風土からインスパイアされた意匠が採用されている。象徴的なのが色彩の表現だろう。

福島県のなかで太平洋に面した沿岸部に位置し、豊かな海と森を併せもつ南相馬市。東日本大震災後、避難地区に指定されて人口がゼロになったが、2016年に避難解除。現在は地方創生活動も活発化し、新たな産業、文化が生み出されている。

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“オダカ”は五つのバリエーションを展開しているが、ブルーベリー、海苔(のり)、ブロッコリー、栗の木、そして震災後に新たな特産品となった唐辛子と、いずれも南相馬市の農産物をモチーフとした色彩を文字盤とストラップに採用。メリハリを利かせた色使いにより、古典的な時計本体のデザインに、個性とモダンなアクセントを加えている。

写真のモデルは南相馬市小高区の特産品のひとつである“ブルーベリー”をモチーフにしたデザインが特徴。完熟した瑞々しいブルーベリーを思わせる青藍色が特徴となっており、一般的なブルーよりも少し落ち着いた雰囲気を感じさせる紫みを含んだ青色の色彩が魅力的だ。

トレンドとなっているカラー文字盤だが、単なるバリエーションではなく、それぞれの色彩に、しっかりとバックボーンが備わっていることを知ると、時計に対する愛着も増してくるはずだ。



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